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居住権の闘い・・・借り上げ復興住宅問題
震災は終わってはいない
・・・借り上げ復興住宅問題

阪神淡路大震災から23年。今尚、残された課題がある。その一つが、借上げ復興住宅強制退去問題。借り上げ復興住宅とは、震災当時、被災者が入居する復興住宅不足から、阪神間の被災自治体は、民間の住宅やUR(旧公団)を借り上げ、約8000戸を提供した。入居当時の契約書には、契約期限の記載されていたものから未記載のものなど様々。未記載だったある被災者は、「もし期限があったなら高齢の母親を抱えて入居などしなかった」と憤る。
震災後、復興住宅の被災者は、新たな地で、人と人とのつながり=コミュニティを一から築き直してきた。今再びそのコミュニティが断ち切られることは、被災者の命を縮めることにつながり兼ねない。そのことは、震災直後、“孤独死”の増加が社会問題化されたことでも明らかである。神戸市は、多くの犠牲を払ったその教訓を生かすことなく、また同じことを繰り返そうとしているのである。
「真面目に生きてきた私がなぜ被告にならなあかんの」
兵庫県や神戸市は、被災者を年齢(兵庫県は原則80歳以上、神戸市は85歳以上)や要介護度、障がいの有無など一定の条件を満たせば入居継続を認めるなどの線引きをし、居住し続けられる人と転居しなければならない人とに分断した。兵庫県は、判定委員会を設置し個別の事情にも配慮してきたが、神戸市は、“はじめに転居ありき”で「住み続けたい」と訴える被災者9世帯を契約期限の20年が過ぎたことを理由に部屋の明け渡しと期限後の賃料相当額(本来家賃)の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴、市民を被災者を訴えた。ある高齢の被災者は「家賃もきちんと払い真面目に生きてきたのになぜ私が被告にならなければならないのか」と憤る。
この間、神戸地裁で、数十回に渡って裁判が開かれてきた。裁判での弁護団や傍聴者の支援の一方で「希望する人すべてに“終の棲家”を求める署名」運動や『被災地と被災者を考える懇談会』などの相談会、兵庫県・神戸市への申し入れなど、様々な運動が展開されている。
Nさん・・・「元気でいられるのはここしかない」
その最中、昨秋、被告9世帯のうちの一人、Nさん(79歳・女性)に判決が下された。Nさんの場合は、公営住宅法に基づき、神戸市が入居前に契約期限と明け渡しの義務を通知していたかどうかが争点だった。神戸市は「入居許可書で通知した」と主張。Nさんは、「通知は入居許可書では遅く、入居決定時(当選の通知をする時)に行わなければならなかった」と反論。神戸市は、「入居許可時に期限の通知をしており、明け渡しを求めることができる」とし、Nさんの反論の機会も保障されぬまま、裁判所は、早々と神戸市の請求を認める不当な判決を言い渡した。Nさんは、持病やケガで歩行が困難。「この部屋は、長い時間をかけてつくった一番暮らしやすい環境で、元気でいられるのはここしかない」と控訴。今後、“居住権”の闘いの場は、大阪高裁に移る。現在、大阪高裁での「公正な裁判を求める署名」運動が展開されている。
災害大国・・・一人ひとりが向き合わなければならない課題
震災後、二重ローンを組んで頑張ってきた被災者や自力で自宅を再建した被災者は多い。苦労を乗り越えてきた人程、借り上げ復興住宅の被災者に対して「いつまで甘えているのだ」と向けられる目は厳しいものになる。でも、考えていただきたい。今後、神戸市内で、契約期限を迎える借り上げ復興住宅は、約1600世帯。しかも、阪神淡路大震災の被災者だけの問題ではなく、東日本大震災・熊本地震など、災害が続くこの国において、私たち一人ひとりが避けては通れない、向き合わなければならない問題でもあることを。ぜひ、署名や裁判傍聴などで被災者に寄り添っていただくことを願う、あなた自身の問題として。



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